ACTIVIKEと走るレーサー #3 池川辰哉選手(VC VELOCE)
ACTIVIKEを活用しながらレース活動をする選手を追う企画 “ACTIVIKEと走るレーサー”
イナーメ北野選手、TeamGOCHI佐々木選手に続く3人目は、ここ最近のJBCF / Jエリートツアーを最も盛り上げている選手のひとりである、池川辰哉選手(VC VELOCE)だ。
Jエリートツアーの年間個人ランキングにおいて、2020年は3位、2021年は1位で年間イエロージャージを獲得、直近の2022年も2位でシーズンを終えている。
そして先日行われたツールドおきなわ市民210においても、アクシデントにめげない気迫の走りで4位という成績を収めている。
そんな池川選手もまた、ACTIVIKEと走るレーサーである。
自転車を始めたきっかけに始まり、普段のトレーニングスケジュールや練習における考え方まで、多くのレーサーにとって非常にためになる話を聞くことができたので紹介する
自転車を始めてから今まで
A そもそも自転車を始めたきっかけは何だったんですか?
池 最初はダイエットですね。11~12年前にまずクロスバイクを買いました。
A それは一番体重があった時(109kg)ですか?
池 当時で80kgくらいだったんじゃないでしょうか。109kgで病気になるぞと言われて自力でダイエットしてそれくらいまでは落としていました。その後に量販店で1万円くらいのクロスバイクを買ったのが始まりです。
A 自力でそこまで落とすのもすごいですね。そこからほどなくしてロードバイクに?
池 いえ、それを2年くらい乗ってまた新たにクロスバイクを買って、さらにその2年後に初めてのロードバイクを買いました。その時が27歳だったと思います。(現在34歳)
A ロードバイクを買ってから頂点(JBCF E1)に行くまでがまた早いですね。最初から競技をやりたくてロードバイクを買ったんですか?それともサイクリングの延長ですか?
池 サイクリングの延長ですね。職場の先輩で渋いランドナーに乗っている方々がいたのですが、その人たちと蕎麦を食べに行ったり、ショップのイベントで宇治に抹茶アイスを食べに行ったりしていました。
A 意外です(笑)自走で宇治の抹茶アイスを食べに行けるのが羨ましいです。競技はどこから始めたんですか?
池 ショップの仲間内で”もう少し速くなりたいね”って話からヒルクライムのレースに出たのが始まりです。最初はヒルクライマーだと思ってたんですよ。それが部活みたいな雰囲気で楽しくて、レースにハマっていきました。ヒルクライムレースを4本くらい経験した後に、ショップの人の誘いでツールドおきなわの存在を知って、なんでか210kmにエントリーしました。
A ロードレースに出てなくて、最初から210kmですか!
池 そうなんです、だから僕、210kmしか出たことないんですよ(笑)当時のショップの店長がすごい強い方で、その方の誘いで出ました。ロード買って2年後くらいでしたね。
A ちなみにその時の順位はどれくらいだったんですか?
池 45、6位くらいだったと思います。
A えぇ(驚愕)それは最初から強すぎますね。距離耐性がかなりあったんですね。
池 それはあったと思いますね。その時は練習方法もわからなかったので、今のチーム(VC VELOCE)に誘ってもらってとにかく引きずられるような練習をしていました。集団走行のイロハも補給の基本も知らなかったし…今思うとあまり良くないですね。特に集団走行に関しては、ある程度の知識を備えないと危ないですね。
Zwiftと仲間との練習会で強くなる
A 今回おきなわでは4位という大きな結果を残されましたね。普段はどんなトレーニングをされているんですか?
池 北野さんのインタビュー記事を読ませてもらったのですが、結構似ているなと感じました。私のブログでも触れたのですが、基本はZwiftでトレーニングをしています。そしてメニュー(ワークアウト)は基本的にやらず、メニューになりそうなZwiftレースを選んでいます。
A やはりZwiftなんですね。
池 はい。で、基本的には1年中同じルーティンでトレーニングをしています。
月曜は日曜日のダメージが大抵あるので、アクティブリカバリーでZ2で流すのみでおしまいです。
火曜日は自分主催の”イケゴリパーク”という練習会があります。スタートから8w/kgで踏み始めて、そこから常に誰かがアタックしているような状況を想定した練習会です。これを火曜の朝にしています。
A 聞くだけで苦しくなる内容ですね、それを朝にやるんですね…。(毎回インタビューでは驚かされるなぁ)
池 基本は朝練なんです。だいたい1時間半くらいですね。で、夜に1時間くらい、ペーサーを活用してアクティブリカバリーを兼ねてZ1~2で走ります。
水曜日は”元気だったら”JZMRという強者揃いのレースに参加して高強度を行います。夜は外で、堺浜の方の周回コースへ行って平坦の練習をします。高校生や大学生も集まるんですが、ここではローテーションの練習や、レース想定の練習をします。(もちろん交通ルールを遵守されています。)
A すごく良い環境ですね。
池 この練習の帰りが遅いので、木曜の朝は寝ています。
そして木曜の夜にZwiftのショートレースに参加します。これがだいたい30分のクリスクロスみたいな内容になるんですよね。
A あれきついですよね(笑)
池 めっちゃきついですね(笑)でもすごく大事な部分だと思って取り組んでいます。こうして火曜〜木曜が高強度になっていて、金曜の朝はまたZwiftで2時間くらいZ2で走るベーストレーニングを行なっています。夜はお休みです。
土曜日は基本的に、京都で行われる早朝の練習会に参加しています。1時間くらいのレース想定の練習会で、京都、奈良、大阪の強い人が集まるんです。4時半くらいに家を出て、片道30kmくらい走って練習会に参加して、また自走で帰るので、9時くらいには帰ってこれます。かなり効率良いんですよね。
日曜は山岳系のロングライドの練習です。獲得標高でいうと2000程度を走ります。
A 改めてお聞きすると、かなりハードな練習スケジュールですね…。だいたい週に20時間くらいでしょうか?
池 そうです。
もちろん、これらは理想形です。実際にシーズンが始まると回復に時間を割いたり、遠征とその準備に時間がかかるので、1年中完全にこのルーティンでは行えません。金曜を完全にオフにしたり、睡眠時間を増やすなどして、回復と遠征準備に時間を充てるようにしています。
A おきなわのように狙っている大きなレースの前はまたさらに量が増えるのでしょうか?
池 そうですね。
A なんと…増やせるんですねここから。
池 土曜と日曜の走行距離が増えます。普段と比較してそれぞれ50kmプラスくらいですね。平日は強度重視なので、あまり内容は変えません。
A すごいです。これだけハードだと、やはりレスト週は定期的に設けるのでしょうか?
池 いえ、レスト週は設けてないんですよ。もちろん波はありますが、だいたい3週間から4週間かけて調子が上がっていった後に踏めない週があります。ここで一旦落ちてからまた上がっていくようなイメージです。
A なるほど、踏めないなりにもルーティンは基本崩さないということですね。
池 そうですそうです。その分走り方を変えたりして工夫しています。集団走行の練習に意識を重く置くようにしたりとか、千切れないようにするとか。特に外での練習で意識していますね。
自転車を速く進めるための工夫
池 今ってパワートレーニングが主流だからあまりフォーカスしない人も多い印象があるんですが、自転車を速く進める練習って大事だなぁと思っています。自分としては結構考えて取り組んでいますね。写真とか見てもらうとわかると思うんですけど、僕集団の中で一番頭低いんですよ。
A 低いですよね。おきなわで集団で走っていた時、印象的でした。
池 集団の中で楽をするために、肘を折りたたんで走る練習をしたり、ローテーションで風を受けずに回るにはどうするか考えたり…あとは路面のギャップをどういなすかとかも考えています。
例えば、これはシクロクロッサーの人に教えてもらったんですけど、路面のギャップがあった時に、普通に乗っていると衝撃を受けて減速しちゃうと思うんですけど、これを最小限にする方法があるんです。
ギャップを超える前にハンドル少し前に押し出してあげるんですけど、こうすることで下にかかる体重を前に逃がせるので減速を抑えられます。あとは登りとかでも、ハンドルをちょっと押しながらペダルに入力すると少し速いんです。
A 勉強になります。マージナルゲインですね。
池 走るときはあまりパワーも気にしないんですよね。zwiftでも集団についていくことだけを考えていてパワーは見ません。もちろん、目標レースで最低限要求されるパワーは過去のデータとかでわかるので、その数値を狙ったタイミングで出せるようにはします。
それよりも何より、”いかに速く自転車を進めさせられるか”、”いかに集団の中で楽をできるか”、”相手が苦しい時に自分が仕掛けられるようにいかに脚を残せるか”ということを考えています。
A パワートレーニングが主流な今こそ、色々な人に改めて伝えたいことですね。
池 そう思っています。ペダルを踏んだら自転車って進むじゃないですか。でも実際には、ペダルを踏んだらクランクが回ってチェーンが動いて、次にスプロケットに力が伝達されて後輪が動いて、路面にトラクションがかかる事で自転車が進んでますよね。
その流れを理解すると、”この路面ならどんなペダリングをすればより自転車は進むのか”とか、”登りでハンドルを押すのか引くのか”とか、”体重をどこにかけたら進むか”とか。その辺をなるべく丁寧に考えるようにしていますね。 …って言いながら、後輪浮かせますし、突っ込みすぎて落車なんてこともあります…。
A 確かに、自転車の構造的な部分を考えるだけでも工夫のしがいって色々ありますよね。自転車ってなんで進むのかっていうところを知っているだけでも引き出しが増えるというか。この辺はフィッティングでも必ず伝えるようにしています。
池 本当にそう思います。めっちゃ大事だと思います。
トレーニングは”偏りなく満遍なく”が大事
A これだけの内容をこなすようになってからどれくらいになるんですか?
池 ここ2年くらいですかね。Zwiftを始めてからこの流れになったので。
A ということは2020年からですよね。やはりコロナの影響は大きいのでしょうか?
池 元々は外で朝練をしていたのですが、転勤があったりして時間的に厳しくなってしまったんですよね。そのタイミングでマツケンさん(松木健治さん)に誘われて、Zwiftを始めました。最初はスマホの画面でやっていたので大変でしたね(笑)
それまでは5分走とか10分走のようなメニューをよくやっていたんですけど、正直そこまで強くなかったんです。JBCFのレースでも、小規模なレースで勝ったり入賞したりしてE1カテゴリーまではいけたんですけど、E1に上がって以降は以降は全然走れず…落車も多かったりして、周りからは”あいつ危ないぞ”と言われるくらいでした。着いてもいけないですし。これが2019年ですね。
A 池川さんでもそんな時期があったんですね。
池 はい…。そこからZwiftを始めてから色々数値も伸びてきた感じですね。
A 実際その翌年の2020年にはJBCFエリートツアーの年間ランキングで3位に入っていますし、やはりZwiftによる効果は大きそうですね。
池 もともとロングライドもやったりしていてベースは強化されていたと思うんですよね。そこにZwiftのレースでより高強度をやるようになったから伸びたのかなと。
A やっぱり”踏まされる”っていうのが良いんですね。メニューとかで自分だと指定しないような領域で否が応でも踏まされるというか。
池 めちゃくちゃ良いと思っています。メニューはとても良いし、きちんとやれてたら強くなると思うのですが、僕は気持ち的にムラっ気があるので、きちんとやり切れないんですよね。だからZwiftレースのなかで”こんなところでこんなパワー出す!?”みたいなことをやる方が合ってるんです。
A メニュー派とレース派、ここは分かれますよね。
池 ただzwiftレースって長くても1時間とかなので、その時間走ることには強くなれるんですけど、それだけの人は長いレースになった時に遅れがちな印象がありますね。だから、ベースの強度も高強度も、偏りなく満遍なくやることが大事だと思っています。
回復と体重管理にリカバリープロテインを活用
A これだけの量をこなすとなると”いかに回復させるか”が大事になってくると思いますが、ACTIVIKEリカバリープロテインはお役に立てていますか?
池 めちゃくちゃ役に立っています。とりあえず、美味しいですもん。本当に美味しいです。
A (笑)ありがとうございます。やっぱりプロテイン選びに味は重要ですか?
池 やっぱり美味しくないと楽しくないし、結局飲まないですよね。そして飲まずに違うものを余計に食べちゃったりもして。ACTIVIKEを使うまでは食べることでエネルギーをさらに消費しちゃうので、疲れが残っちゃうこともありました。
その点ACTIVIKEさんのは美味しく飲めるので、結果的に他の余計なものを食べなくなりましたね。食べ物の消化で余計なエネルギーを使わなくなるので、その分回復も早い気がしています。
A お役に立てていそうで良かったです。
池 あと、北野さんの記事を読ませてもらったのですが、練習前に飲むのもありなんですね。これは試してみようと思いました。
私の場合そもそもがめちゃくちゃ食べるので、すぐ太っちゃうんですよね。体重管理がとても大変なんです。ACTIVIKEは糖質がちゃんと入っているので、これ飲むと他のものは食べなくていいかな〜と思えるようになって、食欲も抑えられていますね。
A そもそも”かなり食べる人”というイメージがあります。食欲コントロールが重要になりますよね。
池 そうですね。ずっと食べてるタイプなんで、プロテインを飲んでない時期は練習後から食事までの間に余計にちょこちょこと食べちゃったりしてたんです。ACTIVIKEを使うようになってからそれがなくなりましたね。
A もともと体重の増減はある方なのですか?
池 めちゃくちゃあります。ベスト体重は60kgくらいなんですけど、気をぬくと70kgくらいまでいってしまいます。
A そこまで体重を増やせるのはそれだけ胃腸が強いということなので、才能だと思います(笑) だからこそこれだけの練習量がこなせると。消化が追いつかなくて練習量が積めない人の方が多い印象がありますし。
池 昔からかなり食べる方でしたし、胃腸も弱くならないし、風邪もほとんど引かないんです。体は頑丈な方だと思いますね。
A 池川さんからは生き物としての強さも感じます(笑)
レースと練習でスピードウォーターをフル活用
A ドリンクは使ってみてどうですか?
池 かなり愛用しています。特にスピードウォーター!それまでは他社のエネルギー系の粉末とカフェインを混ぜたり自作をしていたんです。ただスピードウォーターはその自作のものよりも効きが早く感じます。スッと入ってスッと効いてくれている感じがするんです。
A お役に立てていて良かったです。
池 TTとかヒルクライム用に濃くしたりするのもお気に入りですね。甘ったるくもないので、スッと効いてくれる感じがお気に入りです。
A 主にJBCFのレースで使っている感じですか?
池 ですね。あとは外の練習の時にも基本は使っています。週末のロング練習の時には、グランフォンドウォーターも使っています。
A スピードウォーターは(カフェインが多いので)平日の練習は使わない形ですか?
池 いや、飲みますよ。堺浜の夜練でも飲みます。
A え(驚)寝られますか?
池 ぼく寝られるんですよ。
A カフェインに強い体質なんですね。
池 はい。練習では少しでもブレイクスルー(限界突破)したいので、平日の練習でもカフェインは取るようにしていますね。
A おきなわ当日も使ってましたよね。
池 レース後半、ラスト70km地点の補給所でスピードウォーターを投入した形です。
カーボローティングにグランフォンドウォーター
A おきなわ当日はグランフォンドウォーターも使われたんですか?
池 今回はレースが長いので、多く糖質を含むためにレース前半は他社の物(モルテン)を使用しました。スピードウォーターのカフェイン無し版みたいな形のものですよね。グランフォンドウォーターはカーボローディングで活用しました。
A これは初めて聞く使い方ですね。
池 カーボローディングで食べ物を多く食べるのって、しんどいわけではないんですけど、飽きてくるんですよね。体の負担も大きいですしね。そこでドリンクの形でカーボローディングするというのを長いレース前によくやるんです。
A ちなみにどれくらい飲んだんですか?
池 レース前2日で500ml5本を飲んだ形ですね。2日前に3本、前日に2本です。含まれているパラチノースが体への負担が少ないし、食欲をコントロールできました。
A この方法は我々も活用していこうと思います。
普段の練習から補給をしっかり意識する
池 北摂エリアでチームメイト中心におきなわ想定でロングライドの練習をするんですが、切れてしまう人の共通点って補給に失敗していることなんですよね。最初から脚をガンガン使ってしまう人もいるんですが、やっぱりどのタイミングで何を摂るべきかを知らない人って結構多いなぁという印象です。自分も最初はそうだったんですけど。その辺の情報を知っているか知っていないかだけで全然練習の質が違いますよね。
A せっかく脚があるのに、補給で損をしているってことですよね。
池 勿体無いですよね。糖質の入ったドリンクを持つとか、補給食をどれくらい持っていくかとか、知らない人は多い気がします。逆に補給の知識を知るだけでもっと走れるだろうになぁという人はたくさんいます。
A そこを改善するだけでもっと輝ける人は多いでしょうね。
池 本当にそう思います。北野さんもおっしゃってましたけど、ハンガーノックになってしまったら本当に意味がないので… 練習の一番美味しいところで力を出し切れないのはやはり勿体無いですよね、そこに力を残せるように普段の練習から補給をちゃんと意識しないといけないと思います。
練習で何が必要かどうかを考える
A (この企画で話す)皆様共通してあらゆる要素を突き詰めて取り組んでいますよね。練習の組み立て方から補給まで、毎回テーマを決めて取り組んでいるなぁと思います。
池 昔は漠然とやっていたんですけど、レースをたくさん走るようになってくると、練習で何が必要かどうかを考えて取り組まないとレースで勝負に絡めないし集団にも残れないですよね。自転車競技って、ある程度必要な強度が決まっているので。その強度と時間を意識して練習しないといけないなって思います。
A レース経験を積んでいく中でその必要な強度を見極めて練習するというサイクルを回してきたんですね。レースを出っ放しで終わらせないという。
池 本当にそう思います。
来年の目標
A 最後に来年の目標を教えてください!
池 やはりおきなわ優勝ですね!始めた時からおきなわという舞台に憧れて、出続けてきて、ようやく手が届きそうなところまでこれたので。来年こそ!そのためにも使い続けさせてください!
A 初めて出たレースに今尚憧れ続けているって、すごく良いですね。我々もおきなわを目指して頑張りますので、これからもよろしくお願いします!
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