富士ヒルゴールドに向けてFTPを上げるために大事にしてきたこと【4.5w/kg⇨5.0w/kg】
終わって一週間経ってもなお話題になる富士ヒルのコンテンツ力の高さに驚いています。
今年の結果を受けて、”来年こそ…!”と意気込んでいる方も多いと思います。
自分も2年前に2分足らずでゴールドリングを取りこぼした時は、”次は絶対に…!”と意気込んだのを覚えています。
(と言いつつその年はヒルクライムを辞めてツールドおきなわにシフトしたのですが…)
遠回りをしつつも当時からFTPを252w⇨290w(体重比で4.5w/kg⇨5.0w/kg)
と上げてゴールドリングを取ることができたので、来年チャレンジするかたの参考になればと思い、その記録を綴ります。
あくまで、N=1のケーススタディでしかないのですが、運動生理学的な視点からの考察も交えるので、参考程度に読んでみてください。
トレーニングを進める上で大事にしていること
レースに向けたトレーニングで今大事にしていることは以下です。
・集中してトレーニングに取り組むのは2〜3ヶ月
・強度をあげ切る日は週2〜3回
・なるべく同じメニュー、ルーティンを毎週継続する
・3週に一回、2日のレストを設ける
2019年の富士ヒル前は”乗り込み”が中心でした。100km以上のロングライドを週2〜3回くらいやってましたし、その間に峠のTTやリピート練もしていました。
パワーゾーン的に言うなら峠までの移動はL3とかSSTで、峠はFTP以上。
CTLでいうと140近くまで上がっていました。
実際にそれで冬場からシーズン初期(3月末)にかけてかなりパフォーマンスが上がりました。FTPでいうと230w(4.2w/kg)から250w(4.5w/kg)くらいまで。
ただ、ボリューム・強度ともに高いうえにまとまったレストもほとんど取っていなかったので、肝心の4月、5月は全く伸びませんでした。
常に疲労感を感じたまま過ごし、富士ヒル当日もなんか体が重い。
結局この年は本番で220w(4.0w/kg)、67分18秒でゴールドリングは取ることができませんでした。
▼レポート
コンディションもですが、序盤がオーバーペースだったり立ち回りの判断を誤ったりと、フィジカル、技術ともに足りていませんでした。
この時の反省は、富士ヒルに向けてモチベーションを高めて取り組んだ期間が長すぎたこと。
この年は年明けから高強度(峠TT、リピートなどFTP以上のトレーニング)に取り組み始めていました。
シーズンインでピークが来て、以降は疲労が蓄積してしまい強度をあげきれず、停滞したことから、
集中して取り組むのは3ヶ月が限界(今年の取り組みでこれも見直し、2ヶ月程度がいいかなと)と気づきました。
実際、トレーニング効果を調べる論文などをみても、6週間〜8週間程度の期間を取っています。
また、毎回の練習で高強度をやるのではなく、週に2〜3回などポイントを絞って、その日にしっかり強度をあげること。
疲労をこまめに抜いてその日にしっかり強度をあげることで、トレーニング効率を高めることができます。
逆にこまめに疲労を抜かないと、毎回のトレーニングで強度をあげられず、無駄に疲労を蓄積させる悪循環に陥ります。
この反省は以降活きて、この年初挑戦したツールドおきなわ市民140kmでは目標を達成してシード権を獲得できました。
▼レポート
実際に行った取り組み(メニュー)
メインのトレーニングは時期により大きく分かれます。
ざっくりまとめると、
レース3ヶ月前までは週2:SSTと、週1:L2~L3ロングライド
レース3ヶ月前からは週1:FTP以上インターバル、週1:L3〜SST1時間走、週1〜2:L5インターバル、週1:LSD
・2020年1月〜2021年3月
毎週最低2回は欠かさずL4-20分2セット
・2021年3月〜6月
毎週1回は欠かさず峠でFTP↑15分2セット、L3〜SSTの1時間走
周回コースでL5-3〜5分4本くらい
週に1回は低強度でロング、月に1回〜2回峠で全開TT
2020年1月〜2020年3月
2019年のツールドおきなわをおえて、
”次のメインレースに向けて取り組むのは3ヶ月前の3月中旬から”
と決めました。
この時、次のメインターゲットに据えていたのは富士ヒルよりもニセコクラシックでした。
ニセコでちゃんと結果を出すにはどちらにしても富士ヒルでゴールドは取っておきたいと思っていたし、どちらも6月なので、
2020年の3月からしっかり強度をあげてトレーニングをすることにしていたのですが、、コロナが来ましたね。笑
コロナもあり2020年はレースそのものに出るのを辞めて、ツーリングに精を出すことに決めました。”2021年3月から頑張ろう”と決めたのもこの時。
ただ、2020年頭に毎週2回は欠かさずL4ー20分2セットをやったところ、FTPが250w(4.5w/kg)から270w(4.8w/kg)に向上
これに味をしめて2020年は毎週ズーーーっとこれを続けました。たまにSSTくらいに落とすこともありました。この間一切L5には触れていません。
正直継続するのは辛かったです。しかも結局2020年はFTP270wで打ち止めにしました。
また、筋トレを行って体重も増えたので、レシオ的には4.6w/kgくらいに落ち着いていたと思います。ただ、結果的にはこれが良かったと思っています。
LSD〜SSTに振り切ったこの期間で、筋肉が乳酸を処理する能力と脂肪をエネルギーに変換する能力が高まったのかなと考えています。
ただ高い負荷を掛けていないので、心筋が強化されていなく、心臓が全身に送れる血液の量は上がっていません。ここを強化されたのが3月以降です。
2021年3月〜本番まで
年を開けてもなお落ち着かないコロナ。
正直今年もレースがあるかどうかはわかりませんでしたが、先のことも考えて、レースがなくても6月ごろにピークがくるようにトレーニングをしようと年明けに決めていました。
それまでは2020年の通りに。ただ、2020年は実走を全然していなかったので、実走でのロングは増やしました。(そもそもロングライドが好きなのです。)
3月から仲間との周回練やお客様とのミートアップでL5以上を叩き始めました。
この時期にクランク長やサドル位置の変更など、ポジションもかなりいじっています。
また、和田峠のリピートも開始し、FTP〜L5域で15分前後を2本。これで結果的に停滞していたFTPが一気に270w⇨290wへ。
富士ヒル本番を想定して、ローラーでの1時間走(L3〜SST)も毎週1回やりました。
和田峠で13:45、白石峠で22:00、ヤビツ峠で28:00と、
各地でベストタイムも出ました。
ちなみに、峠に行くまでの移動や、ロングライドは全てLSDです。
このFTPを維持して本番を迎え、ゴールドリングを取ることができました。(単独では絶対取れませんでした。)
▼レポート
去年からウェイトトレーニングを趣味で始めてみたらベースの体重が2年前から2kgほど増えて、そこから減量は一切しませんでしたが、
ヒルクライムは全体的にかなり速くなりました。
FTP以上、L5域を叩いたことで、去年鍛えられなかった心臓そのもののポンプ機能が強化されました。
そして前年の取り組みで筋肉は血液を受け入れて処理する体制が出来上がっているので、強化された心臓のキャパを超えずに運動できるようになっていたのかなと。
ベースを抜きに高強度をやるとパフォーマンスが不安定になるのは、筋肉が受け入れ状態になっていないからじゃないかなと考えています。
やっぱり基礎基本の有酸素運動能力は大事ですね。
反省していること
ヒルクライムに特化するという意味では、低強度のボリュームが多すぎたなというのが正直なところです。
全体的なボリュームを抑えて、もう少し全体的に強度をあげるべきでした。
そうすれば本番にもっとピークがつけられて、少なくとも63分フラットくらいは狙えたと思います。多分おそらく
長い目で見たらL2を長く取ってベースを固めることは大事だと思うので、無駄ではないとは思いますが、富士ヒルに振り切れてなかったなと。
あとは、去年SSTを続けて伸び悩んだ時期にL5域をしっかりやって、伸びた状態でまたSSTをやって固める作業をすれば、今年はもう一段強くなれたはず。
体重も、まぁすぐ戻せただろうから多少減量したらまた違う結果が得られたかも。
この辺は次に活かします!
という感じで、富士ヒルまでの取り組みのまとめを終えたいと思います。