ロードバイクで前乗りするメリット!前乗りの本当の意味とは?
①前乗りのメリットは腰回りや股関節がリラックスすることである
②大腿四頭筋が力を出しやすくなるというメリットもあり=ロングスパートにも活きる
③背中が”リラックスしていること”が肝心
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ここ最近ロードバイク界隈で話題になるのが”前乗り”ポジションですね。
Jプロツアーの動画などをみても実践している選手は多くいるように見えますし、SWorksのパワーサドルなんかは座面を広く作ることでどんな位置でもパワーが出せるように設計されていますね。
ここではロードバイクで前乗りすることのメリットを書いていきます。
1.前乗りのメリットとは?
①〜②では3時の点で膝頭がつま先と被るくらいになっていると思ってください!
①背中がリラックスし腹筋が効きやすくなる
前乗りをすると体とハンドルの距離が近くなります。
そうするとそれまでのように、ハンドルが遠くて頑張って手と背中を伸ばす必要がなくなるので背中が自然なカーブを描きやすくなります。
胸椎と腰椎(※)が伸びきっていたことで詰まっていた背中の筋肉がリラックスするわけです。
※胸椎:背骨の中でも胸の高さの部位 腰椎:背骨の中でも腰の高さの部位
筋肉は基本的に縮みきっていたり伸びきっていたりすると力を発揮できません。
ハンドルが遠いと胸椎と腰椎が伸びきり、背骨が詰まっていると背筋も力を発揮できず、それに伴い腹筋も伸びきるため体幹部が機能しにくくなります。
なので背中をリラックスさせることで腹筋も背筋も使いやすくさせるメリットがあります。
長距離乗っていて腰が痛くなるというかたは特に、いつもより少し前に乗るようにする、またはサドルを少し前に出すと良いかもしれません。
②骨盤が起きて股関節周りの筋肉も使いやすくなる
①から派生して、腰椎がリラックスすることで骨盤を起こしやすくなります。
ハンドルが遠くて背中が反っていると骨盤は前傾(前にお辞儀した状態)します。こうなると上死点で股関節が深く曲がることになります。
言ってしまえば股関節を曲げる筋肉(腸腰筋や大腿直筋)が”詰まった”状態。下死点でも股関節が美味しいところまで伸びないため、大臀筋やハムストリングスにより股関節で踏む力も出しにくい状態になります。
テーブルを前にして椅子に腰掛けてください。そこから
A.机に突っ伏した状態でのもも上げ
B.机に肘だけついた状態でのもも上げ
それぞれやってみましょう。Bのほうがあげやすくないですか?
骨盤が起きると構造的に股関節はリラックスした状態になります。つまり、引き足でも踏み足でも股関節周りの筋肉を使いやすくなるわけです。
なのでペダリングもスムーズになることが期待できます。
ここからさらに前乗り…
③大腿四頭筋が力を発揮しやすくなる
ここまでの話は長時間乗り続けるに当たっての利点です。いわばリラックスして走る状態。
3つ目の利点はレースなどに頻繁に参加される方には知ってもらいたいお話で、短時間で高出力を発揮したい時に、より前乗りをするメリットがあります。
前乗りをすると膝のお皿はそれに伴い前に移動していき、3時の点では膝のお皿はつま先よりも前に出ます。
一般に”良くない”とされる位置関係ですが、ここでの膝の角度が深いときに大腿四頭筋(特に大腿直筋)の活動が高くなるという報告があります。
大腿四頭筋は短時間高出力を発揮するのが得意な筋肉です。
なのでロングスパートをかける際などに思い切って前乗りすることで高いパワーをペダルに伝えやすくなります。
逆に言えばこれは長時間は続きません。
そういう意味ではロングライドでは極端な前乗りはすぐに疲労につながる恐れがあります。
そもそも”膝がつま先より出ないように”というのは大腿四頭筋以外の筋肉もしっかり使える状態にすることで長時間疲れずに走ることを目的にしています。
2.”正しい前乗り”とは?
2.①”骨盤が起きている”ことが大事
前乗りすることで骨盤がお辞儀せずに起きている状態になり、腹筋や股関節周りの筋肉がリラックスした状態になると書きました。
逆に言えば、いくら前乗りでも骨盤がお辞儀していてはこのような条件にはなりえません。
また骨盤が直立〜後傾(後ろに倒れている)状態でも逆効果と言えます。
ではどれくらいの状態がいいか?
自分がフィッティングをするときには、上死点でお腹と太もものなす角度が105度±5度程度に収まるように調整します。
というのも、背骨の湾曲の状態により骨盤の起きる起きないの匙加減も人それぞれになるからです。
このときに、長時間の走行を想定する場合は膝がつま先より前に出ないようにクリートを調整する必要があります。
2.②前乗りの本当の意味
”前乗り”とは体全体が前に出たポジションないしは乗り方という意味ですが、これは腹筋は股関節周りの筋肉を効かせるという意味合いがあるということです。
後ろ乗りよりも前乗りのほうが骨盤が起きやすく、腹筋や股関節周りの筋肉を効かせられると考えています。
多くの日本人の小柄な体格と海外のロードバイクを合わせると、少し前目のポジションの方がそういう意味で都合がいいのです。
闇雲に前に座るのではなく、”前に乗りつつ腹筋はしっかり意識する”ことが大切です。
3.後ろ乗りをするときに気をつけたいこと
後ろ乗りでも背中をそらさずにハンドルに手を届けられるのであれば、これまでに書いたのと同様のメリットが得られます!
また後ろ乗りの場合、体は前かがみになるので空気抵抗軽減という大きなメリットも得られやすいです。
胴体と脚が長い方の場合は後ろ乗りでも骨盤が起きた状態のポジションが取りやすいかと思います。
そうでない場合、
背骨の柔軟性がなく、腹筋が弱いと後ろ乗りにしても背中が反り返ってしまい股関節も大きく使えません。
長時間の空気抵抗軽減とペダリング効率の両立を求めるとしたら、体幹部の強化と柔軟性確保が求められてくるとおもいます!
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