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ロードバイクのトレーニングにLSDが欠かせない3つの理由と具体的な進め方

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LSDはLong Slow Distance またはLong Steady Distanceの略であり、長距離を強度を上げずに一定ペースで走るトレーニング手法のことを言います。

 

Slowと訳してしまうと人によりペースが違うため、Steadyの方が良いでしょう。ここではLSD=Long Steady Distanceという前提のもと

 

プロ選手などが冬のベーストレーニングによく行うため、”サイクリストは冬に作られる”という言葉があるくらいです。

 

一見、”低強度でいくら走っても速くはならないでしょ”、”追い込まないと意味がない!”と思いがちですが、LSDは初級者から上級者まで、あらゆるレベルのサイクリストに有効です。

 

また、冬に限らず通年行うことが有効であると考えています。

 

ロードバイクのトレーニングをする上で、LSDは欠かせないと言っても過言ではないでしょう。

 

LSDにどんなメリットがあるのか、具体的にどれくらいの量でどのように組み込むと良いのかをまとめていきます。ぜひ最後まで読んでください。

 

そもそもLSDとはどれくらいの強度?

 

LSDの強度はz2で、FTPの55~75%です。最大心拍数でいうと60~70%です。

下記の表をご参考にしてください。

https://www.highnorth.co.uk/articles/zone-2-cycling

 

 

LSDを行うと体はどうなるか?

 

LSD=低強度なトレーニングを長時間行うことで、

 

①ミトコンドリア量の増加

 

②毛細血管の増加

 

③脂肪燃焼促進

 

といった体の変化が起きます。これにより、基本的な有酸素運動能力が向上するのです。

 

もう少し具体的に書くと、乳酸が血中に発生するラインを引き上げることができるため、長時間の運動を行いやすい体を作ることができるのです。

 

LSDを行うメリット

 

LSDで得られる効果は大きく3つです。

 

①トレーニングのボリュームを無理なく上げられる

 

②脂肪燃焼能力を高められる=レースの勝負どころで脚が残る、ロングライドで垂れずにペースを保つことができる

 

③フォームやペダリングを修正できる

順を追って解説します。

 

トレーニングのボリュームを無理なく上げられる

 

ロードレースのような展開による妙が生まれる競技は別として、自転車の走力=有酸素運動能力は、端的に言って練習量に比例します。

 

練習量の多さとレース成績が比例した報告があるくらいです。(1) 要するに強い人は得てしてたくさん乗っているということです。

 

”たくさん乗る”と聞くとそれに伴い毎回ハードなことをやっているようなイメージを持ちがちですが、実際にはハイレベルなサイクリストやランナーはそのトレーニング時間の多くを低強度のトレーニングに割いていると言います。(2)

 

もちろんハードな内容をやっていないわけではありません。あくまでバランスの問題です。

ハードなトレーニングは、相応にダメージが大きいため回復に時間を要します。

 

一方で、低強度なトレーニングはダメージが小さい分継続して取り組みやすいのです。

低強度なトレーニングで絶対的なトレーニング量を高めつつ、合間に高強度のトレーニングを行うことで強くなっていくわけです。

 

基礎的な有酸素運動能力を高めつつ、レース強度の能力を高めるトレーニングを行うことになるので、相乗効果が期待できます。

 

脂肪燃焼能力を高められる=レースの勝負どころで脚が残る、ロングライドで垂れずにペースを保つことができる、登坂力が上がる

 

有酸素運動を続けるために必要なエネルギー源は糖質と脂質です。

 

どちらを使うかは強度に依存します。すなわち、強度が低いほど脂質の比率が上がり、高くなるほど糖質を使う比率が上がります。

 

LSDのような低強度のトレーニングでは資質の利用比率が高くなります。この領域のトレーニングを積むと、脂質をエネルギー源にする能力が上がる=それまでより高い強度でも脂質をエネルギー源に多く動員して走れるようになるのです。

 

このメリットはロードレースやロングライドの終盤に活きてきます。糖質を節約して走れるため、いざ展開が激しくなった時に備えられるし、ロングライドで最後までペースを維持しやすくなるのです。

 

糖質を節約できる=乳酸が出にくいということなので、ヒルクライムの基礎的なペースアップも期待できます。

 

フォームやペダリングを修正できる

 

LSDは強度が低いため、常に余裕を持ちながら走ることができます。

その分、強度が高い時に意識を向けにくい体の使い方を見直す時間にもできます。

 

体の使い方とは、フォームが崩れていないか、トルクが常にちゃんと掛かりながらペダリングができているか、正しく筋肉を使えているか、などなどです。

 

こうしたスキルは怪我をすることで長期離脱することの予防になりますし、疲れにくい動きをすることで長時間のライドのパフォーマンスを高めます。

 

具体的な取り組み方法

 

どれくらいの量を行うと良いか

 

個人差はありますが、1回あたり2~5時間を、週に2~4回ほど行うのが良いでしょう。(3)

 

どんな場所で行うと良いか

 

住んでいる場所による差はどうしてもでますが、平坦基調でなるべくアップダウンの少ないコースを選ぶのが良いでしょう。

登りがどうしても多くなる場合は、登坂ペースは上げすぎずゆっくり登ってサイクリングを楽しむくらいの感覚が良いです。(決して追い込まないように)

市街地で信号が周りで多い場合は、室内トレーニングの活用をお勧めします。(3)

 

LSDに偏らずに取り組む

 

LSDは有効ですが、当然LSD”だけ”を行っているのでは効果は薄いでしょう。LSDはあくまで有酸素運動の基礎作りとボリュームを増やすための取り組みです。

 

LSDを行いつつ、強度の高いトレーニングを行うことで強く、速くなります。

 

週2〜3回の高強度のトレーニングを行いつつ、他の隙間時間でLSDを行う、という流れを続けるのが良いでしょう。

 

トレーニングはバランス良く、偏りなく行うように意識ましょう。

 

(1)  https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijspp/9/2/article-p332.xml

 

(2)​​  https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijspp/5/3/article-p276.xml

 

(3) https://www.highnorth.co.uk/articles/zone-2-cycling

この記事を書いた人

西谷亮

バイクフィッター・トレーナー。理学療法士国家資格保有。医学的根拠に基づいた身体評価を武器に一人一人のライドスタイル、レベルに合わせたフィッティングが得意です。2019年にはフランスで行われる”自転車の学会”であるScience&Cyclingに採択されるなど研究活動も行なっています。また”ACTIVIKE”のブランドでプロテインの開発販売も行なっている。 2019年ツールドおきなわ市民140上位完走、2021年富士ヒルゴールド。

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