【膝の痛みの原因はおしりかも?】
サイクリストにとって膝の痛みは大きな悩みの一つです。
特に長距離ライドやヒルクライムの後に痛みを感じる人も多いでしょう。
膝の痛みの原因としては、クリート位置、サドル高、ケイデンス、ペダリング技術などさまざまな要因が考えられますが、実は「殿筋(お尻の筋肉)」の機能不全が影響している可能性があります。
今回は殿筋と膝の痛みについてその原因と対策について解説します。
是非膝に痛み、違和感がある方は実践してみてください!
目次
1.殿筋とは?なぜ重要なのか?
殿筋とは、大殿筋・中殿筋・小殿筋の総称であり、主に股関節の伸展(後ろに蹴り出す動き)や外転(脚を横に広げる動き)を担っています。
特にペダリングにおいては、大殿筋がパワーを発揮し、中殿筋が骨盤の安定性を保つ役割を果たします。
これらの筋肉が適切に機能しないと、膝への負担が増し、痛みを引き起こす原因となります。
・殿筋の主な役割
臀筋はペダルを踏み込む際に股関節を伸ばす動きを主導することでパワーを発揮します。
また、ペダリング中の膝が左右にぶれないように安定性を高めます。
2.殿筋が機能しないと起こる膝のトラブル
殿筋が適切に働かないと、ペダリングの力の伝達が不均衡になり、大腿四頭筋やハムストリングスに余計な負担がかかります。
その結果、以下のような膝のトラブルが発生しやすくなります。
①腸脛靭帯炎(ランナー膝)
中殿筋が弱いと骨盤が安定せず、ペダリング時に膝が内側に入る(ニーイン)傾向が強くなります。
これにより、大腿骨の外側にある腸脛靭帯が過剰に擦れ、炎症を引き起こします。
②膝蓋大腿痛症候群(PFPS)
膝蓋骨(膝のお皿)の動きが不安定になり、関節への負担が増加。
特に大腿四頭筋の外側(外側広筋)が過剰に働き、膝蓋骨の位置がずれて痛みが生じることがあります。
③ハムストリングスの過剰な負担
大殿筋がうまく使えないと、代わりにハムストリングスが過剰に働くようになります。
これにより、ペダリング時のバランスが崩れ、膝の後ろ側に痛みが出ることがあります。
このように、殿筋が機能しないと膝にさまざまな悪影響が及ぶため、適切に鍛えることが重要です。
3.殿筋を活性化するためのトレーニング
殿筋の機能を改善し、膝の痛みを軽減するためには、次のようなエクササイズを取り入れると効果的です。
①クラムシェル(中殿筋強化)
目的:骨盤の安定性を向上させ、ニーインを防ぐ
やり方
・横向きに寝て、膝を軽く曲げる
・かかとを合わせたまま、上側の膝を開く
・ゆっくり元の位置に戻す(20回×2セット)
②ヒップリフト(大殿筋強化)
目的:ペダリング時のパワー伝達を改善
やり方
・仰向けに寝て膝を立てる
・お尻を締めながら、腰を持ち上げる
・ゆっくり下ろす(15回×3セット)
③バンドウォーク(中殿筋強化)
目的:ペダリング時の膝のブレを減らす
やり方
・ゴムバンドを膝上に巻く
・膝を軽く曲げて腰を落とし、横に歩く(片側10歩ずつ×2セット)
④シングルレッグデッドリフト(殿筋とハムストリングスの連動強化)
目的:片足でのバランス能力を高め、膝へのストレスを軽減
やり方
・片足立ちになり、もう一方の足を後ろに伸ばしながら上半身を前に倒す
・ゆっくり元の位置に戻す(左右10回×2セット)
4.まとめ
膝の痛みは、多くのサイクリストにとって避けられない悩みですが、その原因が殿筋の機能不全にあることは意外と知られていません。
殿筋が適切に働かないと、ペダリング時の膝の軌道が乱れ、腸脛靭帯炎や膝蓋大腿痛症候群などのトラブルを引き起こします。
しかし、クラムシェルやヒップリフト、バンドウォークなどの簡単なエクササイズを継続することで、殿筋の機能を改善し、膝の負担を軽減することが可能です。
痛みなく快適にライドを楽しむために、ぜひ殿筋トレーニングを取り入れてみてください!
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