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「速くなりたいなら、あえて“ゆっくり”」L2(ゾーン2)が最短ルートな理由

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今日は、「速く走るためには、実はゆっくり走ることが近道なんだよ」という、ちょっと不思議な、でもとても大切な話をさせてください。

 

その名も「L2(レベル2)トレーニング」、またの名を「ゾーン2トレーニング」と言います。

 

50代のベテラン世代の方だと、「トレーニング=歯を食いしばって根性で耐えるもの」というイメージがあるかもしれません。

 

僕も体育会系だったので、その気持ちすごく分かります。汗をかいてゼーハー言わないと、サボっているような罪悪感すらありますよね。

 

でも、最新のトレーニング理論では、プロ選手ですら練習時間の多くをこの「L2」という低い強度に費やしているんです。

なぜなら、それが一番効率よく「自転車が進む体」を作れるからなんです。

 

今日は、なぜこの「楽な強度」が私たちにとって有効なのか、その理由を専門的な理屈も噛み砕きながら、じっくりお伝えしますね。これを読めば、明日からのサイクリングが「ただの移動」から「意味のあるトレーニング」に変わるはずです。

 

 

1. そもそもL2(ゾーン2)ってどれくらい?

 

まず、L2の強度のイメージを共有しましょう。

数字で言うと、最大心拍数の60〜70%、パワーメーターをお持ちならFTP(1時間出し続けられる最大パワー)の75%以下です。

 

もっと感覚的な言葉で言うなら、「隣の人と笑顔で会話ができる強度」です。

息が「ハァハァ」と上がって会話が途切れるなら、それは頑張りすぎです。景色を楽しめるくらいの余裕がある状態、それがL2です。

 

「えっ、そんな楽でいいの?」と思われますよね。

でも、この「楽さ」にこそ秘密があるんです。

 

2. 理由①:「エネルギー工場」をリニューアルできるから

 

L2が有効な最大の理由は、体の中にある「ミトコンドリア」という細胞が元気になるからです。

ミトコンドリアは、酸素と栄養を取り込んで、体を動かすエネルギーを作り出す「工場」のような存在です。

L2のような低強度の運動を長く続けると、体は「もっと効率よくエネルギーを作らなきゃ」と反応して、この工場の数が増えたり、性能が良くなったりします。

 

例えるなら、「古くて小さな町工場」が、「最新設備の整った巨大工場」に生まれ変わるようなイメージです。

工場が大きくなれば、それだけたくさんのエネルギーを楽に作り出せるようになりますよね。

 

これが「スタミナ」の正体であり、基礎的な有酸素運動能力の向上につながります。

逆に、高強度のトレーニングばかりしていると、この工場を育てる暇がなく、すぐに疲れてしまう体になってしまうんです。

 

3. 理由②:「脂肪」を燃やせるハイブリッドな体になるから

 

二つ目の理由は、私たちにとって嬉しい「脂肪燃焼能力」の向上です。

自転車を漕ぐエネルギー源には、「糖質(ごはんやパン)」と「脂質(体脂肪)」の2種類があります。

 

• 高強度の運動: すぐに爆発的なパワーになる「糖質」をたくさん使います。

• 低強度の運動(L2): 燃費の良い「脂質」をメインに使います。

 

L2で走り続けると、体は「脂質」をエネルギーに変えるのが上手になります。するとどうなるか?

 

普段のライドでも、タンク容量に限りのある「糖質(ガソリン)」を節約して、体にたっぷり蓄えられている「脂質(体脂肪)」をエネルギーとして走れるようになるんです。

これができるようになると、ロングライドの後半でお腹が空いて力が出なくなる「ハンガーノック」になりにくくなりますし、ここぞという勝負どころまで「糖質」という虎の子の燃料を温存できるようになります。

 

「脂肪を燃やして走る」。まさにハイブリッドカーのように燃費の良い体に進化できるわけです。ダイエット効果も高いので、お腹周りが気になる世代には一石二鳥ですよね。

 

4. 理由③:高い強度に耐える「土台」ができるから

 

三つ目は、トレーニング全体の構造の話です。L2は、すべてのトレーニングの「土台(ベース)」になります。

高いビルを建てるには、深く広い基礎工事が必要ですよね? 木で例えるなら、太い幹を支えるには、広く張った根っこが必要です。

 

L2で毛細血管を増やし、ミトコンドリアを増やし、基礎体力をつけること。これがまさに「基礎工事」や「根っこ」の部分にあたります。

 

この土台がしっかりしていない状態で、いきなり高強度のインターバルトレーニング(ビルの高層階を作る作業)をしても、体は耐えきれません。

すぐに疲労困憊になったり、怪我をしてしまったり、あるいはすぐに頭打ちになって成長が止まってしまいます。

 

「急がば回れ」という言葉がありますが、L2はまさにそれ。

遠回りに見えて、実は強くなるための最短ルートだったりするんですよ。

 

5. 理由④:フォームとペダリングの修正ができるから

 

最後はスキルの話です。L2は強度が高くないので、脳みそや心肺機能に「余裕」があります。

この「余裕」があるうちに、自分の体の動きを見直すことができるんです。

 

ゼーハー言いながら坂を登っている時に、「股関節の角度はどうかな?」なんて考える余裕、ないですよね? でも、L2なら冷静に自分の体と対話ができます。

 

• 「ちゃんと股関節からペダルを踏めているかな?」

• 「肩に力が入ってないかな?」

こういった細かい身体操作を確認しながら何千回とペダルを回すことで、「正しい動き」を体に刷り込ませることができるんです。

悪いフォームでいくらハードな練習をしても、怪我のリスクが高まるだけですからね。

 

実践のコツ:とにかく「止めない」こと

 

最後に、L2トレーニングを効果的に行うためのコツを一つだけお伝えします。

それは、「なるべく足を止めないこと」です。

 

L2の効果は、ある程度の時間、一定の負荷をかけ続けることで高まります。

 

信号待ちばかりの街中では、心拍数が上がったり下がったりしてしまい、効果が半減してしまいます。

 

できれば信号の少ないサイクリングロードや、平坦なコースを選んで、90分〜2時間以上、淡々とペダルを回し続けるのが理想です。

 

もし外で環境が見つからなければ、室内でのローラー台練習もおすすめですよ。

 

 

いかがでしたでしょうか?
L2は決して「楽をしてサボっている」わけではありません。

 

「未来の自分のために、体の基礎をじっくり育てている時間」なんです。

 

ガムシャラに走って疲労困憊になる週末も良いですが、たまには心拍計とにらめっこしながら、「今日は絶対に心拍数を上げないぞ」というゲーム感覚で、じっくりとL2に取り組んでみてはいかがでしょうか?

 

数ヶ月後、久しぶりに峠に行ってみたら、「あれ?なんか楽に登れるぞ?」と感じる瞬間がきっと来ます。

 

その時の感動を、ぜひ味わっていただきたいです。

 

焦らず、じっくりと。一緒に「10年先も走れる体」を作っていきましょう!応援しています。

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