【休むダンシングの3つのコツとは?】
今日は、多くのサイクリストが一度はぶつかる壁、「ダンシング」についてお話しします。
特に、坂道で楽をするはずの「休むダンシング」が、逆に疲れてしまう…なんてこと、ありませんか?
実はそれ、身体の構造や自転車の進む仕組みから見ると、ちょっとしたボタンの掛け違いが原因かもしれません。
僕も昔はそうでしたし、多くの方が通る道です。でも、コツさえ掴めば、ダンシングは強力な武器になりますよ。
今日は、「本当に楽に登れるダンシングのコツ」を、専門的な視点も交えつつ、できるだけ分かりやすくお伝えします。
目次
なぜ「休むダンシング」で疲れてしまうのか?
まず、一番最初にお伝えしたいのは、「ダンシングをすると逆に疲れる」という現象の正体です。
これ、実は「立ちすぎ」が原因なんです。
ダンシング=立ち漕ぎ、というイメージが強いので、どうしてもサドルから腰を上げて、体を「起こそう」としてしまいますよね。
でも、体を起こして重心が前に移動しすぎると、ハンドルにドカッと体重が乗ってしまいます。
そうすると、肩や腕がロックされてしまい、上半身がうまく使えなくなります。
さらに、重心がペダルの真上よりも前(つま先側)に行ってしまうと、体重をペダルに乗せることができず、結局は太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を使って「踏ん張る」ことになります。
これでは、シッティングの時よりも無駄な力を使ってしまい、すぐに脚がパンパンになってしまいます。
「休む」どころか「筋トレ」になってしまっている状態ですね。
では、どうすればいいのでしょうか?ポイントは大きく分けて2つあります。
コツ①シッティングの姿勢を変えない(立たない)
一つ目の、そして最大のコツは、「立とうとしないこと」です。
「え?ダンシングなのに?」と思われるかもしれませんが、これが真髄です。
シッティングで前傾姿勢をとっていると思いますが、その「くの字」に曲がった股関節や背中の角度を保ったまま、お尻だけをサドルから数センチ浮かせるイメージを持ってください。
感覚としては、おへその下(丹田あたり)を少し後ろに引くような意識です。
こうすることで、重心がハンドル側に突っ込むのを防ぎ、バイクの中心(ボトムブラケット付近)に体重を残すことができます。
この姿勢が取れると、体重がストンとペダルの真上に乗るようになります。
そうすると、筋力で無理やり踏み込まなくても、体重移動だけでペダルが勝手に落ちていく感覚が得られるはずです。
これが「体重で乗る」ということです。
もし、どうしても前に突っ込んでしまう場合は、「お尻を後ろに引く」意識を強く持ってみてください。
ハンドルに体重を預けるのではなく、足(ペダル)の上にしっかり立つ。
これだけで、前モモへの負担が劇的に減り、心拍数の上がり方も穏やかになりますよ。
コツ②ハンドルは「押し引き」で使う
二つ目のコツは、上半身の使い方です。特によく言われる「ハンドルには手を添えるだけ」というのは、ダンシングにおいては忘れてしまってもいいかもしれません(笑)。
正しいダンシングでは、ハンドルの「押し引き」を積極的に使います。
先ほど、「姿勢を変えない(立たない)」ことで肩のロックが外れるとお話ししました。
肩がリラックスして動く状態になったら、ペダルを踏み込むタイミングに合わせて、自転車を左右に振ります。
この時、体ごと左右に揺れるのではなく、「体の軸はまっすぐに保ったまま、自転車だけを左右に振る」イメージです。
• 右足を踏み込む時は、右手でハンドルを引き、左手で押す。
• 左足を踏み込む時は、左手でハンドルを引き、右手で押す。
こうやって自転車を傾けることで、ペダルの真上に体重を乗せやすくなります。
また、上半身の筋肉(背筋や腕)を動員することで、脚の筋肉の負担を分散させることができます。これが「休むダンシング」の正体です。
筋肉を使わないのではなく、「脚以外の筋肉も使って、脚を休ませる」ということなんですね。
最初は少し大げさにハンドルを振ってみても良いかもしれません。慣れてくると、最小限の動きでスムーズに体重移動ができるようになります。
コツ③動きのイメージは「階段登り」
ここまでの動きを統合するのに、とても良いイメージがあります。それは「階段を登る動き」です。
階段を登る時、体をのけぞらせて登る人はいませんよね?
少し体を前傾させて、お尻や太ももの裏側の筋肉を使って、一歩一歩体を持ち上げているはずです。この時、重心は常に足の裏にあります。
ダンシングもこれと全く同じです。
ペダルを踏むというよりは、「体を折りたたんで、太ももを持ち上げる」感覚です。
腸腰筋(お腹の深層筋肉)を使って脚を引き上げ、その足を置いたペダルに体重を預けていく。
コンタドール選手のようなトッププロのダンシングを見ると、リズミカルに背中が動いているのが分かりますが、あれはまさに全身を使って「階段を駆け上がっている」ような状態なんです。
練習方法:まずは平地や緩い坂で
いきなり激坂でこれを実践しようとすると、どうしても力んでしまいます。
まずは平地や、勾配の緩い坂道で練習してみてください。
1. ギアをいつもより1〜2枚重くします。
2. シッティングの姿勢から、お尻だけをスッと浮かせます(立ち上がらない!)
3. おへそを少し後ろに引いて、ハンドルに体重が乗らない位置を探します。
4. ハンドルを軽く左右に振りながら、ペダルに体重を乗せていきます。
この時、もしふらついてしまうなら、「スタンディング(その場で止まる技術)」の練習もおすすめです。
自転車の上でバランスを取る感覚、重心をバイクの中心に置く感覚が養われるので、結果的にダンシングの安定感も増しますよ。
まとめ
ダンシングは、習得するのに少し時間がかかるスキルです。
「頭では分かっているけど、体が動かない!」となるのが普通ですので、焦らないでくださいね。
まずは「立たない(姿勢を変えない)」こと。
そして「ハンドルを押し引きしてバイクを振る」こと。
この2点を意識して、次回のライドで少しだけ試してみてください。
もし「あれ?今の数秒間、すごく楽だったな」と感じる瞬間があれば、それが正解の入り口です。
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