【なぜ腸腰筋を鍛えるといいのか】
サイクリストにとって脚の筋肉を鍛えるのは当たり前。
でも、「腸腰筋(ちょうようきん)」というインナーマッスルの重要性について、意識している人はまだ少ないかもしれません。
実はこの腸腰筋、あなたのペダリング効率から登坂力、さらには腰痛予防にまで関わるすごい筋肉なんです。
年齢が経つに連れサイクリストにとっては、パフォーマンス維持にも健康面にも影響が大きい筋肉なんです。
目次
1.腸腰筋ってどこにある筋肉?
腸腰筋は、腰の奥にあるインナーマッスルで、「腸骨筋」と「大腰筋」という2つの筋肉の総称です。
背骨(腰椎)から骨盤を通って、大腿骨(太ももの骨)の内側にくっついています。
簡単に言うと、「脚(股関節)を引き上げる動き」を担当している筋肉。
走る・歩く・階段を上るといった日常の動作はもちろん、自転車のペダリング動作にも深く関わっています。
2.なぜサイクリストにとって重要なのか?
①ペダリングが滑らかになる
腸腰筋がしっかり働いていると、ペダルを下に押し出すだけでなく、上に引き上げる動作もスムーズになります。
特に回転数(ケイデンス)が高いシーンでは、この引き上げ動作がスムーズかどうかで疲労の感じ方が全く違ってきます。
効率の良いペダリングをしている選手は、脚の力のかけ方が「丸く」なっていると言われますが、その裏には腸腰筋の働きが大きく関係しているんです。
②登坂力がアップする
ヒルクライムでは、脚を持ち上げる力と押し込む力を絶えず繰り返す必要があります。
このとき、脚を素早く引き上げて次の動作に移れるかどうかは腸腰筋の力次第。
実際に、プロや上級者のヒルクライマーほど、腸腰筋の活動量が高いという研究もあります。
長い登りでバテてしまうという人は、もしかするとこの筋肉がうまく使えていないのかもしれません。
③腰痛を予防できる
デスクワークが多い現代人は、腸腰筋が弱くなりがち。
腸腰筋が衰えると、骨盤の前傾が保てなくなり、背中が丸まりやすくなります。
この姿勢で長時間ライドを続けると、腰への負担が大きくなり、腰痛を引き起こしやすくなります。
逆に、腸腰筋がしっかり働いていれば、骨盤と背骨の位置が安定し、長距離ライドでも腰がラク。
フォームも崩れにくくなり、疲労の蓄積も防げます。
④ペダリングの左右差やブレの改善にも
「ペダリングが左右でズレている感じがする」「踏み足ばかりで引き足が使えていない気がする」という悩みを持つ方にも、腸腰筋トレーニングは効果的。
腸腰筋の働きが弱いと、脚をまっすぐ引き上げるのが難しくなり、ペダルの軌道がぶれたり、左右差が出たりします。
片足ペダリングや軽めのトレーニングでこの筋肉を意識することで、フォームの改善にもつながります。
3.どうやって鍛えればいいの?
腸腰筋はインナーマッスルなので、激しい筋トレではなく、ゆっくりとした動きや正確なフォームで刺激を入れていくのがポイントです。
以下は代表的なトレーニング方法です。
①レッグレイズ(仰向けで脚をゆっくり上下)
お腹をへこませながら脚を上下させることで、腸腰筋にじわじわ効いてきます。
②ニーアップ(その場で膝を高く上げて歩く)
背すじを伸ばして、膝をお腹の高さまでしっかり上げましょう。
③チューブヒップフレクション
チューブを足に引っかけて、股関節を折るように脚を引き上げる動き。
負荷を調整できるので自宅でも取り入れやすいです。
④片足ペダリング(ローラー台や固定バイクで)
ゆっくり回して、引き足の動きを丁寧に確認しましょう。
ペダリング効率の向上にも効果的です。
これらのトレーニングを週に2〜3回、1回10〜15分でも継続することで、効果を感じられるようになります。
4.まとめ
年齢を重ねると、筋肉の柔軟性や機能が少しずつ低下してきます。
とくに腸腰筋のようなインナーマッスルは、意識して使わないとどんどん衰えていくもの。
でも逆に言えば、鍛えればしっかり応えてくれる筋肉でもあります。
ペダリングの改善、登りの強化、腰痛対策。これらすべてに関係しているのが腸腰筋。
これまで脚の筋肉ばかりを意識してきたという方も、ぜひ一度腸腰筋を見直してみてください。
ライド中の快適さがぐっと変わるかもしれませんよ。
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