【湿気の多いこの季節、サイクリング練習で気をつけるべきこと】
湿気が高い季節は、サイクリストにとって体調管理・パフォーマンス維持・機材トラブルのリスクが高まります。
適切な準備と対策をとることで、安全で質の高いトレーニングが可能になります。
目次
1. なぜ湿気はサイクリストに影響するのか?
湿度が高くなると、体温調節機能や発汗・蒸発のバランスが崩れやすくなります。
サイクリングは有酸素運動で体内の熱産生が多いため、汗による気化熱で体温を下げる仕組みが重要ですが、湿気が多いと汗が蒸発しにくくなります。
その結果、体温が上昇しやすくなり「オーバーヒート」や「脱水」のリスクが高まります。
また、空気中の水分が多いと、呼吸の際の酸素交換効率も低下しやすいと言われています。
2. 熱中症・脱水症の予防が最優先
特に湿気の高い日は、気温がそこまで高くなくても熱中症のリスクが上がります。
発汗量が多くなる一方で、汗が乾きにくいため、自覚しにくいのも特徴です。
【具体策】
・事前の水分補給(プレローディング)
練習の1〜2時間前に500ml程度の水分を補給しておくのが効果的です。
・ライド中のこまめな水分補給
目安は15〜20分ごとに数口ずつ。スポーツドリンクなどナトリウムを含む飲料が理想です。
・汗で失われる塩分も補給
長時間ライドでは、塩タブレットや電解質パウダーを活用しましょう。
3. パフォーマンス低下への対応
湿気による体温上昇や循環負荷の増加は、心拍数やRPE(主観的運動強度)を押し上げます。
つまり、同じ出力でも「キツく感じる」傾向になります。
【具体策】
・パワーメーター活用
数値管理することで、主観的な「きつさ」に振り回されず安定したトレーニングが可能になります。
・強度設定の微調整
いつもよりFTPの95〜98%程度に抑えるなど、天候に応じた強度調整が重要です。
・心拍ゾーンの活用
暑熱順化ができていない時期は心拍の急上昇が起こりやすいため、ゾーン3〜4を目安にコントロールします。
4. ウェア・装備の工夫
汗が乾かないと不快感・皮膚トラブル・体温調節不全につながります。
【具体策】
・吸湿速乾性の高いウェア
メッシュインナーや撥水性の高いジャージを選択する。
・ヘルメットの通気性
エアロ性能も大事ですが、湿気の多い日は通気性重視が無難です。
・グローブ・ソックスの替え
長時間ライドでは途中で交換できると快適さが段違いです。
5. 練習時間帯の工夫
朝や夕方の方が気温・湿度ともに低めでリスクが下がります。
紫外線量も減るため、皮膚トラブル防止にも役立ちます。
【具体策】
・早朝ライドの活用
出勤前の朝練はこの時期におすすめです。
・夕方ライドも選択肢
夜間走行はライト・反射材を忘れずに。
6.暑熱順化を意識したトレーニング
梅雨明け〜真夏に向けて、今の時期に暑さに体を慣らしておくと、夏本番のパフォーマンス低下を防げます。
【具体策】
・徐々に高温多湿での運動量を増やす
・無理をしない強度で体を慣らす
・水分・塩分補給を常に意識する
7.まとめ
湿気の多い季節は「体温管理」「水分補給」「機材管理」「暑熱順化」がポイントです。
梅雨〜夏の高湿度環境は、見た目以上に体に負担をかけます。
適切な知識と準備で、安全に・効果的にトレーニングを重ねていきましょう。
日々のコンディションを見極めつつ、自分の体と相談しながら「賢く走る」ことが、この季節を乗り切るコツです。