【発酵食品で始める腸活のすすめ】
近年「腸活」という言葉を耳にすることが増えましたが、具体的に何をすればよいのか、何を食べれば腸にいいのか迷っていませんか?
今回は腸内環境を整える「発酵食品」に焦点を当てて、腸活の基本とその効果を科学的な視点からわかりやすく解説します。
目次
1.腸活とは
腸内環境を整えることは、免疫力やメンタルの安定、代謝改善など全身の健康につながります。
腸活とは、腸内の「善玉菌」を増やし、腸内環境を整えることで、健康な体と心をつくるための生活習慣のこと。
人の腸には約100兆個以上の腸内細菌が生息しており、食べたものを消化するだけでなく、免疫システムの調整、ホルモンや神経伝達物質の合成、さらには慢性疾患の予防にまで関わっています。
特に注目されているのが、腸と脳が密接につながっている「腸脳相関」という考え方。
近年の研究では、うつ病や不安障害といったメンタルヘルスにも腸内環境が関係していることが分かってきています(参考:Cryan & Dinan, 2012)。
2.発酵食品とは?
発酵食品は腸に良い菌(プロバイオティクス)や、そのエサとなる成分(プレバイオティクス)を含み、腸内の善玉菌を増やす効果があります。
発酵食品とは、微生物の働きによって糖やタンパク質などが分解され、独自の風味や栄養価が生まれた食品のことです。
日本で代表的な発酵食品には、納豆、味噌、醤油、漬物、ヨーグルト、キムチ、甘酒などがあります。
3.発酵食品が腸にいい理由
①プロバイオティクスの供給
乳酸菌やビフィズス菌など、腸に良い働きをする生きた菌を取り入れることができる。
②プレバイオティクスの補給
菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維も同時に含まれていることが多く、腸内で善玉菌が増えやすくなる。
例えば、納豆には納豆菌と食物繊維が豊富で、腸内の悪玉菌を減らし、便通を改善すると言われています(Yonekura et al., 2015)。
4.科学が示す発酵食品の効果
発酵食品の摂取は、便秘解消だけでなく、免疫力の強化やメンタルの安定にも効果があることが研究で示されています。
最近の研究では、発酵食品を多く摂っている人は、炎症マーカーが低下し、腸内多様性が高まる傾向があることが分かっています(Wastyk et al., 2021)。
これは、発酵食品が腸内細菌に良い影響を与え、腸内フローラのバランスを整えることで、体全体の炎症レベルを抑える効果があるからです。
また、別の研究では、発酵食品を毎日摂っている人は、ストレス耐性が高まり、メンタルの安定にもつながっているという報告もあります(Nishida et al., 2019)。
5.どんな発酵食品を選べばいい?
加熱処理されていない「生きた菌」が含まれる発酵食品が特におすすめです。
すべての発酵食品が同じように効果があるわけではありません。
市販の漬物や味噌の中には、加熱殺菌されて菌が死んでしまっているものもあります。
なるべく「無添加」「非加熱」「生タイプ」と記載のある商品を選ぶのがポイントです。
6.おすすめの発酵食品と摂取のコツ
⚫ヨーグルト
朝食に毎日150g〜200gを摂取。
無糖タイプを選び、オリゴ糖やフルーツと一緒に。
⚫納豆
夕食に1パック(40〜50g程度)
キムチと混ぜるとダブル発酵パワー。
⚫味噌
1日1〜2杯程度の摂取。
非加熱の味噌を使って、味噌汁に仕上げに加える。
飲みすぎると塩分過多になる可能性があるので注意しましょう。
⚫ぬか漬け
1日50g〜80g(きゅうりや大根1〜2切れ分)がちょうどいいです。
自宅で漬けるのがベスト。
市販品は「乳酸菌入り」表示をチェック。
ぬか漬けも食べ過ぎると塩分過多になる可能性があるので注意しましょう。
7.発酵食品と一緒に心がけたい腸活習慣
腸内環境は食べ物だけでなく、生活習慣の影響も大きいです。
食物繊維をしっかり摂る(野菜・海藻・雑穀など)
水分補給をこまめに
睡眠をしっかりとる
適度な運動(特に有酸素運動)
これらも、善玉菌を育てる土壌づくりには欠かせません。
8.まとめ
腸活のポイントは「継続」と「多様性」です。
いきなり完璧な食生活に変える必要はありませんが、毎日の食事に1〜2品、発酵食品を取り入れるだけで腸内環境は少しずつ変わっていきます。
腸が変われば、体が変わる。
そして、心も前向きに整っていく。
そんな「腸からはじまる健康習慣」、今日から少しずつ始めてみませんか?
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