【脂質を摂らなさすぎるとどうなる?】
「脂質は太るからできるだけ避けたい」
「糖質とタンパク質が大事だから脂質は控えめでいい」
こんなふうに考えていませんか?
確かに、脂質は1gあたり7kcalとエネルギー密度が高く、過剰摂取すると体脂肪が増えるリスクがあります。
しかし、ロードバイクのパフォーマンスを維持し、健康的にトレーニングを続けるためには、適量の脂質が不可欠です。
今回は「脂質を摂らなさすぎると何が起こるのか?」について、解説していきます!
目次
1. 脂質の3つの重要な役割
脂質は、単なる「太る原因」ではなく、体にとってさまざまな重要な役割を持っています。
特に、ロードバイクのような持久系スポーツを行う人にとって、脂質はエネルギー供給やホルモンバランスの維持に欠かせません。
① 長時間のエネルギー源になる
脂質は安静時や低〜中強度の運動時に主要なエネルギー源として利用されます。
特に、脂肪酸の酸化は持久運動において重要なプロセスであり、十分な脂質を摂取しないとこの機能が低下する可能性があります。
② ホルモンの材料になる
脂質は、テストステロン(男性ホルモン)やエストロゲン(女性ホルモン)といったホルモンの材料となります。
特に、ロードバイクのような持久系スポーツを続ける人は、エネルギー不足が続くとホルモンバランスが崩れやすくなり、パフォーマンス低下や健康リスクが高まります。
③ 細胞膜や神経の機能を支える
すべての細胞の膜は脂質(リン脂質)で構成されており、脂質が不足すると細胞の正常な働きが損なわれます。
また、神経の伝達にも関与しており、脂質不足は集中力の低下につながることもあります。
2. 脂質不足がもたらすデメリット
① パフォーマンスの低下
脂質不足により、長時間のライドでエネルギー切れを起こしやすくなります。
特に低糖質+低脂質の食事を続けると、エネルギー供給が極端に不足し、パフォーマンスが落ちる可能性があります。
ある研究では、脂質摂取を極端に制限した持久系アスリートは、パフォーマンスが低下し、回復も遅れることが示されています(参考: Burke et al., 2018)。
② ホルモンバランスの崩れ
脂質が不足すると、テストステロンや成長ホルモンの分泌が低下し、筋肉の合成が抑制されたり、疲労回復が遅れたりする可能性があります。
特に中高年の男性にとって、テストステロンの低下は筋力や持久力の減少につながるため、注意が必要です。
脂質摂取を極端に減らしたアスリートは、テストステロンの値が低下し、回復力が低下するという研究結果があります(参考: Volek et al., 2005)。
③ 集中力やメンタルの低下
脂質は脳の機能にも重要です。
特にオメガ3脂肪酸は脳の働きを支え、不足すると集中力が低下したり、記憶力が低下したりします。
また、脂質不足はセロトニンの分泌にも影響を与え、気分の落ち込みを招くこともあります。
オメガ3が不足すると、うつ症状のリスクが高まるという研究が報告されています(参考: Grosso et al., 2014)。
④ 免疫力の低下
脂質は免疫細胞の働きをサポートする役割もあります。
特に、不飽和脂肪酸(オメガ3やオメガ6)は炎症の調節に関与しており、脂質不足が続くと風邪をひきやすくなったり、怪我の回復が遅れたりする可能性があります。
3. どれくらいの脂質を摂るべき?
脂質の摂取量は、総エネルギー摂取量の20〜35%が推奨されています(日本人の食事摂取基準2020)。
例えば、1日に2500kcalを摂る場合、脂質は約55〜100gが目安になります。
また、脂質の種類も重要です。
⚫︎積極的に摂りたい脂質
オリーブオイル、ナッツ類、アボカド(不飽和脂肪酸)
魚(オメガ3脂肪酸)
亜麻仁油・えごま油(α-リノレン酸)
⚫︎控えめにすべき脂質
バター、ラード(飽和脂肪酸)
揚げ物や加工食品に含まれるトランス脂肪酸
4. まとめ
「脂質=悪」というイメージを持っていると、パフォーマンスや健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
特にロードバイクのような持久系スポーツでは、適度な脂質摂取がエネルギー供給、ホルモンバランス、回復力の維持に欠かせません。
✅ 脂質は1日あたり総エネルギーの20〜35%を目安に
✅ 良質な脂質(オメガ3、不飽和脂肪酸)を意識して摂る
✅ 極端な低脂質ダイエットは避け、バランスの取れた食事を
適切な脂質摂取で、より長く、より強く走れる体を作っていきましょう!
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