ペダリングは歩きと同じ!ロードバイクのペダリングの基本
・ペダルの踏み始めは1時から!
・大臀筋とハムストリングスが特に重要
・股関節を大きく使えるようにフィッティングする
多くの自転車乗りの方がペダリングについて悩んでいると思います。
一見単純な動きですが、効率よくスムーズに回さないと、うまくスピードを上げられない、維持できない、疲れるなんてことになります。
逆にペダリングを上手にできるようになると、筋力がそこまでなくても速く走る事ができるようになります。
また、正しいペダリングを覚える事で先々の怪我を予防する事にも繋がります。
自転車を漕ぐこと自体は体への負担はそこまでありませんが、ロードバイクのように長時間乗るようになると、
ビンディングペダルとハンドルにより体をの動きを制限されることにより、関節への負担はじわじわと溜まっていきます。
なので、正しいペダリングを身に付けることは速く走る上でも、怪我せず安全に走る上でもとても重要です。
今回は体の専門家の視点から、正しいペダリングとは何かについて書いていきます。
※”専門知識に基づいた個人の意見”くらいに留めて参考にしてください!論文等鋭意調査中。。
1. ペダリングってどんな動き?
まずは改めて”ペダリングとはどんな動きなのか”というところを書いていきます。
ペダリングは一言でいうと、
股関節の曲げ伸ばしに伴って膝関節と足関節が連鎖しながらペダルを円上で回すこと
だと考えています。
”股関節の曲げ伸ばしに伴って”というところがポイントです。
自転車に限らず、人の動きは全て体の中心⇨末端という風に広がっていきます。
歩くのも走るのも、泳ぐのも、球を投げるのも全てです。
ペダリングも同様に、体の中心である股関節から動かし始めると、膝⇨足首とスムーズに動かすことができます。
多くの人は股関節主体に、ではなく膝関節主体に動かしています。
初心者は特にグイグイと、膝でペダルを踏みつけるように漕いでいる人が多いです。
ペダリングは踏むのではなく、回すことが肝です。
そのために股関節を上手に使う必要があります。
2. ペダリングは円運動というよりは2つの半円運動の組み合わせ
ペダリングは円運動と思いがちですが、どちらかというと2つの半円運動を組み合わせる事でできるものだと思います。
ペダルを下ろす時の半円と
上げる時の半円です。
綺麗に円を書こうとするとつま先や膝に意識が向きがちになって、股関節を上手に使えないと考えています。
股関節を使って、太ももの上げ下ろしを丁寧に行ない2つの半円を作りましょう!
そうすると、結果的にスムーズな円が生まれます。
3. ペダリングでは関節はこう動く!
”ペダルを回す事”と”歩く事”はほとんど同じであるという持論も踏まえて、ペダリングを4分割して考えてみました。
3.① 11時〜1時:踏み脚の準備
踏み脚のスタートは時計でいう1時ごろだと考えています。
それに当たっての準備がこの11時〜1時の相で、地面に向かってペダルをまっすぐ踏み下ろすために一度つま先を前に滑らせる必要があります。
ここでしっかり足が定まっていないとこの次に繋がりません。
歩きで言うところの、踵を床につけた瞬間だと思ってください。
3.② 1時〜4時:踏み脚のメイン
ペダルに力を伝えるメインフェースです。
股関節⇨膝関節と伸ばしていきます。
重力の向きも含めて、一番ペダルに力が伝わる重要ポイントです。
歩きで言うところの足底をつけて体重を受け止めている時ですね。
3.③ 4時〜7時:引き足への切り替え
ここでは股関節は伸ばしていきますが、今度はペダルを持ち上げる必要があります。その切り替えのタイミングです。
ここでかかとが落ちないようにすると力が逃げません。
なのでかかとが落ちないように意識しましょう。
歩きで言うところの脚を後ろに伸ばしている時ですね。
3.④ 7時〜11時:引き脚のメイン
今度は引き脚です。
ここもまた重要です。なぜならこの時反対側の脚は踏み脚のメインフェーズにいるからです。
クランクは左右に連結しているので、引き脚がぶれると反対側の引き脚もブレます。
引き上げる際は股関節⇨膝関節と曲げていきます。
4. ペダリングで大切な筋肉たち
股関節を主体に、ペダルを上下させることが大切と書きました。
あらかじめ言っておきますが、膝や足首周りの筋肉が不要なものであるという事ではありません。
それらが全て相互に作用する事で綺麗なペダリングは生まれます。
それを踏まえて、ペダリングで大切な筋肉たちを紹介していきます。
4.① ペダルを下ろす時
・股関節を伸ばす筋肉
お尻の筋肉 =大臀筋、中臀筋
腿裏の筋肉 =ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)
・膝関節を伸ばす(支える)筋肉
前ももの筋肉 =大腿四頭筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)
・足首を伸ばす筋肉
ふくらはぎの筋肉 =下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)
1時を踏み下ろしの始まりと考えます(0〜1時は踏み下ろしの準備期間)
股関節が伸び始めるのもこのポイントです。
活動する筋肉の順番としてはお尻⇨前もも⇨もも裏という風に連鎖して行きます。※ただしそれらは独立はせず、同時に活動している時間もあります。
そして踏んだ力を逃さずにペダルとクランクに力を伝えるために、足首を支える必要があります。そこでふくらはぎの筋肉がサポート的に働きます。
これ、歩く時と同じです。
歩く時も、
踵をついて脚の裏が着くまでお尻の筋肉で体を支え、
前腿の筋肉で衝撃を吸収し、
腿裏の筋肉とふくらはぎで推進力を得ます。
4.② ペダルを上げる時
・股関節を曲げる筋肉
ももの付け根の筋肉 =腸腰筋、内転筋、大腿直筋
・膝関節を曲げる筋肉
腿裏の筋肉 =ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)、腓腹筋(下腿三頭筋の一部)
・足首を返す筋肉
スネの筋肉 =前脛骨筋
7時が引き足の始まりと考えます。
と言うのも上で述べたように、股関節が曲がり始めるのがだいたい7時くらいだからです。
ここではももの付け根⇨もも裏⇨すねと言う順番に働いていくと考えています。
歩く時と同じです。脚を振り出す時はももの付け根から振り出しますよね。
5.スムーズにペダリングするためのフィッティングと体の使い方
ここまではペダリングの時に体、と言うか脚はどう動くかと言うところを中心に述べてきました。
股関節が主体的に動き、膝⇨足首と連鎖して動くことでスムーズなペダリングになります。
口で言うのは簡単ですが、実践するのはとても難しいです。
そこで少しでも意識しやすくする工夫をフィッティング、体の使い方の観点からまとめてみました。
5.① ペダリングをスムーズにするために〜股関節を大きく使えるようにフィッティング!〜
股関節を大きく使えること。
これは自分がフィッティングを行う際にも最も重視しているポイントです。
見た目上のフォームだけでなく、個々の体の柔軟性と筋力に応じて変わってきます。
股関節を大きく使うために大切なのが
肩〜背骨〜骨盤にゆとりがあること
これに尽きます。
もう少し具体的に言うと、
上半身が伸びきりすぎず、
かといって曲がりきらず、
の程よい状態になっていることです。
背中が伸びきっていると言うことは骨盤が前に倒れきっている状態です。股関節を曲げる範囲が狭くなっています。
逆に背中が曲がりきっていると言うことは腰〜骨盤が起きすぎて股関節を伸ばす範囲が狭くなっています。
伸びきっているとか曲がりきっているとかって言う限界点は柔軟性と筋力により違うので難しいところです。
自分でこのポイントを捉える場合、呼吸が楽かどうかと言う視点で色々試してみると良いと思います。
▶︎ACTIVIKEのフィッティングの詳細はこちら!5.② ペダリングをスムーズにするために〜肩の力を抜いて体重がペダルに乗るように〜
股関節を大きく使えるようにフィッティングしたらあとは体を上手に使うのみです。
抑えたいポイントは2つです。
①肩の力を抜く
②お臍の下に力を込める
これを意識するとサドルの上にある上半身の基礎/土台の部分がしっかりできてきます。
ハンドルにどかっと体重が乗りすぎない状態になり、その分サドルとペダルに体重を乗せやすくなります。
肩甲骨から背骨、骨盤は連結しているので、肩に力が入り肩甲骨が固定されると骨盤まで動きが悪くなり、結果股関節も大きく使えなくなります。
なので、肩の力を抜くという、スポーツでよく言われるこの表現は体の動きの本質をついた表現なのです。
そして肩の力を抜き骨盤までリラックスした状態にしたら、
土台となる腹筋の下部(=おへその下あたり)に力を込めることで、
サドルの上で上半身を安定させることにつながります。
また、股関節は骨盤と大腿骨(太ももの骨)により構成されるので、骨盤が安定していることは股関節を大きく使う上で必須です。
5.③ ペダリングをスムーズにするために〜太ももの上下は内側を意識する〜
股関節を上手に使う準備ができたら実際に股関節を使っていきます。
ここで意識するポイントは太ももの内側を意識して脚を上下させることです。
体がブレないようにする上で大切なのがインナーマッスルと言う体の芯を作る筋肉たちです。
お腹周りを起点に、手足の指先まで広がっています。体の大黒柱のような存在です。
お腹のインナーマッスル(横隔膜/腹横筋/骨盤底筋)⇨腸腰筋⇨内転筋⇨足首へ…
と連鎖していきます。
これらは基本的に体の中心に近いところにあり、太ももで言うなら内ももに存在してます。
太ももを上下させる時も、内ももに意識を置いて上下させると体が安定してきます。
6. 股関節のストレッチをしてペダリングに活かせるように!
股関節に意識を置いて上手に使うためには、股関節の柔軟性を確保し、股関節を使う感覚を覚える必要があります。
そのためにも、股関節のストレッチはとても重要です。
曲げ伸ばしも、開く動きも、ひねる動きも、満遍なくストレッチしていきましょう。
股関節が柔軟であることは故障の予防にも繋がりますし、ロードバイクを操る上で重要な体幹をより効果的に使えるようになります。
7.まとめ
ペダリングってどんな動きをするの?と言うところから始まり、大切な筋肉や上手にペダリングするためのフィッティング、体への意識と言うところまでまとめてみました。
この記事を一言でまとめると股関節を上手に使おう!です。
体を上手に使えると故障の予防とパフォーマンスの向上につながります。
特に自転車は非常に限定された空間の中で長時間運動することになるため、ペダリングスキルの比重はとても高いと感じています。
ぜひこの記事の内容を参考に、自転車生活を楽しんでいきましょう!
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